2020.9.13

世界が愛する日本のKōgei~名匠の技と美(4)陶芸家・森野泰明さん

政府が推進する「日本博」の一環として、9月21日に東京・上野の東京国立博物館で開幕する特別展「工藝2020―自然と美のかたち」。出品する名匠の技と美を紹介するシリーズの第4弾は、陶芸家・ 森野泰明たいめいさん(86)(京都市) が登場する。

陶芸家の森野泰明さん
土の声を聞き 寄り添う 

森野さんが出品する扁壺へんこ松籟しょうらい」は、複数の釉薬ゆうやくを重ね、深い焦げ茶色の肌に鮮やかな緑や銀色の抽象模様を浮かび上がらせる。伝統と現代性を兼ね備えた作風を裏打ちするのは、土や釉薬の緻密ちみつな研究と、長い歴史に培われた手仕事の技だ。

出展される「松籟」

米国の大学で陶芸を指導した時に気付いたのが、日本人の自然観と伝統の豊かさだった。日本では、変化する土の状態に応じて「待つ」ことも求められるのに対し、米国で出会った作品は、自由な発想にあふれ「感性で土をねじ伏せている」ように見えた。

「土の声を聞き、時間をかけて自分に引き寄せる。自然を征服するのではなく、親しみや恐れを抱いて寄り添ってきた。素材との付き合い方も同じ」と考える。

「松籟」は、ろくろや型を使わない「手びねり」で成形し、簡潔でぬくもりのあるフォルムに仕上げた。現代的でありながら、京都らしい美意識を感じさせる。心がけたのは「素材、色彩、模様の一体感」だ。

「世界が瞬時につながる時代だからこそ、伝統と地域に根ざした要素は大事。脈々と続く工芸の『遺伝子』が、世界の人々を魅了するのではないか」

2020年9月6日付読売新聞より掲載

特別展「工藝2020―自然と美のかたち―」公式サイトはこちら

tsumugu.yomiuri.co.jp

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