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2020.5.18

国宝の名画、埴輪から歌舞伎まで ビデオ会議に日本美あふれる「バーチャル背景」はいかが

新型コロナウイルスの影響で、仕事でもプライベートでも、自宅からビデオ会議システムを使う機会が増えている。「友人らとのコミュニケーションは楽しいけれど、自宅の様子が画面で映るのは恥ずかしい」……そんな時に活用できるのが、画面上の自分の周りに、自動的に別の画像が合成される「バーチャル背景(仮想背景)」。ビデオ会議のシステムによっては、自分好みの画像を選ぶこともできる。

現在、多くの美術館や企業がバーチャル背景用の画像を提供している。それらの中から、日本美術や伝統芸能に関連したものを紹介しよう。

国宝の文化財に思いを込めて

奈良国立博物館は、同館の収蔵品の中から国宝「山水図(水色巒光図すいしょくらんこうず)」と国宝「最澄筆 尺牘せきとく久隔帖きゅうかくじょう )」をピックアップして、公式ツイッターで紹介した。

「山水図」は、文人たちが理想とした山水(自然)のなかにたたずむ草庵そうあん風の書斎を描いており、宮崎幹子・学芸部情報サービス室長は「没入感のある絵で、ご自身の書斎に見立てたら面白いかと思いました」と選んだ理由を語る。

「尺牘」は、現存する最澄唯一の自筆書状で、当時空海のもとにいた弟子の泰範たいはんに宛てた手紙だ。空海が最澄に送った詩の中に、最澄の知らない書物の名があったため、お返しの詩を送るために「その書物の内容を空海から聞いて自分に知らせてほしい」と頼んでいる内容といい、「文章の書き方からも、年下である空海に礼を尽くす様子がうかがえ、物理的に離れていても相手の気持ちに応えようという心遣いは、今の状況でも共感が得られると感じました」と宮崎さん。

このほか、同館では疫病を引き起こす鬼(に見立てた邪)を神々が退治する様子を描いた国宝「辟邪絵へきじゃえ」も所蔵しており、こちらもおすすめだという。

かわいい埴輪、ユーモラスな妖怪たち

東京国立博物館は、重要文化財に指定され、ドラマのロケなどにも使われている本館の大理石の階段や、埴輪はにわが並ぶ展示室など館内の風景写真を、「テレワーク中のビデオ会議などに使ってもらえるように」と、公式ツイッターで公開した。

新型コロナウイルス感染防止のため、2月27日から臨時休館しており、「展覧会を楽しみに待っていてくださっているお客様と、どのようにつながりを持つか」(広報室)を検討したのだという。同館が所蔵する季節感や時流に即した作品などを中心にSNSで積極的に紹介しており、バーチャル背景の提供もそうした取り組みの一つ。担当者は「大変良い反応を多数いただいた。今月中に第2弾の配信を予定しています」としている。

鬼や化け物たちをコミカルに描いている「百鬼夜行図」を公開しているのは、東京大学総合図書館。源氏物語の「桐壺」の貴重な写本や、三代目歌川国貞の錦絵など、バラエティー豊かな画像を提供している。

東京・渋谷にある山種美術館も、重要文化財の速水御舟ぎょしゅう名樹散椿めいじゅちりつばき」や鈴木其一の「四季花鳥図」などの名画4点を、「オンライン会議用背景」として提供している。

劇場へ、観光地へ…気分をあげて

伝統芸能の分野では、「ビデオ通話で歌舞伎座気分♪」として、松竹が歌舞伎座の画像を背景壁紙としてツイッターに公開している。歌舞伎座の正面玄関、玄関から入って広がる「大間」、舞台の定式幕、そして客席の4種類で、客席を設定すると、歌舞伎座の舞台に立っているかのような感覚に。

歌舞伎やミュージカルなどを上演している福岡の博多座は、「心はいつでも…」のメッセージとともに、最前列センター席や、日頃は見ることのできない楽屋の写真を掲載している。

自宅から旅行気分が味わえるのは、京都市観光協会が公開している京都の風景写真。自宅にいながら京都の魅力を感じて、癒やしや活力を得てもらおうという「Stay Home, Feel Kyoto」の取り組みの一環で、祇園新橋や和菓子、大政奉還が行われた二条城「大広間」の障壁画など12枚の画像を、2020年5月31日までの期間限定で提供している。

Stay Home, Feel Kyotoキャンペーン公式サイトはこちら

好みの画像で気分が盛り上がるだけでなく、会話のきっかけにもなりそうな、個性あふれる背景がずらり。テレワークや遠隔授業、オンライン飲み会などに、「日本美」を取り入れてみるのはいかがだろう。

※おことわり
バーチャル背景が使用可能かどうか、また設定方法は、会議システムやパソコン・スマートフォンなどの状態によって異なります。また各画像を使用する際の注意事項や使用方法については、提供施設・企業のツイッター、ホームページでご確認ください。

(読売新聞紡ぐプロジェクト事務局 沢野未来)

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