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2021.7.17

永徳「唐獅子図」に若冲「動植綵絵」など国宝に 皇室ゆかり「三の丸尚蔵館」所蔵品で初

「唐獅子図屏風」狩野永徳筆

文化審議会は16日、宮内庁「三の丸尚蔵館しょうぞうかん」が収蔵する美術工芸品のうち、安土桃山時代を代表する狩野永徳の「唐獅子図からじしず屏風びょうぶ」をはじめ、絵画4件と、書跡1件を国宝とするように文部科学相に答申した。皇室ゆかりの優品を収める同館の収蔵品の国宝指定は初めて。学術的な価値を明確にし、展示や研究などの活用を広く進める。

元寇げんこうの様子を描く「蒙古もうこ襲来しゅうらい絵詞えことば」、鎌倉時代のやまと絵絵巻の最高峰「春日かすが権現ごんげん験記絵げんきえ」と、江戸時代の絵師・伊藤若冲じゃくちゅうの代表作「動植どうしょく綵絵さいえ」、平安時代の書の「三蹟さんせき」の一人、小野道風が手がけた「屏風びょうぶ土代どだい」の指定も答申された。

「蒙古襲来絵詞」(前巻、部分)
「春日権現験記絵」(巻1、部分) 高階隆兼筆
「動植綵絵『群鶏図』」伊藤若冲筆
「動植綵絵『老松孔雀図』」伊藤若冲筆
「屏風土代」(部分)小野道風筆

三の丸尚蔵館は1993年、皇室から国に寄贈された美術工芸品の収蔵を目的に皇居・東御苑に開館。収蔵品はこれまで、十分な保護がされているため、文化財として指定されてこなかったが、宮内庁と文化庁が国宝や重要文化財への指定を検討してきた。

(2021年7月17日読売新聞朝刊より掲載)

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