日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2020.1.21

168本の銅剣からお茶目なハニワまで…特別展「出雲と大和」で古代ロマンを満喫 

島根県出雲市の荒神谷遺跡から出土した銅矛16本(国宝)。展示物の規模に圧倒される

720年(養老4年)に我が国最古の正史「日本書紀」が編纂へんさんされて今年で1300年を迎えたのを記念し、特別展「出雲と大和」が3月8日まで、東京・上野の東京国立博物館で開催されている。大和(奈良)と出雲(島根)の遺跡などから発掘された出土品を中心に、古代日本の文化や権力の変遷、諸外国との交流といった歴史を学べる内容になっている。

「日本書紀」では、出雲大社がある出雲は神々や祭祀さいしの世界、天皇がいる大和は現実世界、政治の世界とされている。

平安期の出雲大社本殿をイメージした模型。島根県立松江工業高校の生徒が10分の1スケールで再現した

出雲は日本海を通した交流で独自の文化を形づくり、多数の青銅器を用いた祭祀が行われていた。会場には島根県出雲市の荒神谷こうじんだに遺跡から出土した銅剣358本のうち168本、銅矛16本(いずれも国宝)のほか、複数の遺跡から発掘された大量の銅鐸どうたくがずらりと並び、その規模に圧倒される。

荒神谷遺跡から出土した銅剣358本のうち168本を展示。特徴などから、358本を一括して生産したと考えられている

一方の大和では、権力の象徴として前方後円墳が作られ、富を表す品が埋葬された。奈良県橿原市の新沢千塚にいざわせんづか一二六号墳から出土したガラス皿、金製指輪(いずれも重要文化財)など、大陸から交易品や、同県斑鳩町の藤ノ木古墳から出土した龍や鳳凰ほうおうの透かし彫りが美しい金銅装鞍金具こんどうそうくらかなぐ(国宝)などの豪華な品々が並ぶ。

新沢千塚一二六号墳出土の金製指輪(重要文化財) 。朝鮮半島からもたらされたものとみられている
石上神社に伝わる宝剣「七支刀(しちしとう)」(国宝、4世紀)は、百済王から倭王に贈られたものとされる
藤ノ木古墳から出土した「金銅装鞍金具」の前輪(左)と後輪(しずわ)。ガラスや金細工で装飾されており、東アジアでも類をみないほどの豪華さという
何とも愛らしい「埴輪(はにわ) 見返りの鹿」。右は松江市の平所(ひらどころ)遺跡から発掘された重要文化財、左は奈良県橿原市の四条一号墳から出土した
不思議な形をした「須恵器 出雲型子持壺」(6世紀)は、儀式用の土器とされる

後半の「仏とまつりごと」のコーナーでは、飛鳥時代以降の仏像や大陸からもたらされた仏像が並ぶ。仏教が信仰や国づくりの中心となり、古墳に代わって権力の象徴となっていった様子をうかがい知れる。

場内には、古代東アジアの至宝とも言われ、 1949年1月に焼損した法隆寺金堂壁画の複製陶板も飾られており、来館者が写真を撮れるフォトスペースになっている。

(読売新聞紡ぐプロジェクト事務局 沢野未来)

あわせて読みたい

東京国立博物館 日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」

Share

0%

関連記事