2019.8.13

【国際交流員ご当地リポート】仙台の名所 独眼竜政宗の霊屋

宮城県国際交流員 ソラ・チェさん

東北地方の仙台市には「瑞鳳ずいほう殿」と呼ばれる史跡があります。現在の仙台市の礎となった仙台藩の藩祖であり、16世紀の日本で最もカリスマ的だった藩主の一人、伊達政宗公の霊屋です。 

政宗公は1567年に生まれ、戦功を挙げて伊達家の当主となりました。三日月形の金色の前立てに特徴があるかぶとと黒いよろいで知られ、子供の頃に失明した目を眼帯で覆っていたことから「独眼竜」の異名を取りました。映画「スター・ウォーズ」に登場するダース・ベイダーの衣装は、政宗公の甲冑かっちゅうに着想を得ているとされています。政宗公は仙台城を築き、地域の文化、政治、経済の発展に寄与して、天下に名声をはせました。今も市内や宮城県内の史跡を訪れると、伊達家の壮麗な美意識や影響を見て取ることができます。 

瑞鳳殿はその色鮮やかな装飾と深みのある黒漆に金色のアクセントが映え、目を見張るものがあります。1931年にいったん国宝に指定されましたが、第2次大戦中の1945年に焼失したため、1979年に再建され、2001年には、霊屋の本来の美しさをより豊かに再現するため、さらに改修が行われました。花や鳥、竜や天上の神々などの装飾が施され、はっとさせられるような建築作品です。木々がそびえ立つ石畳の参道は息をのむほどの美しさで、仙台市内の騒々しさを逃れて憩うには格好の場所です。夏は青や紫色のアジサイが咲き誇り、秋の夕暮れにはイルミネーションが辺りの紅葉や霊屋を照らし出します。 

参道を下っていくと「感仙殿」と「善応殿」があります。いずれも豪華な霊屋で、政宗公の子忠宗、孫の綱宗がそれぞれまつられています。瑞鳳殿と同様、複雑なデザインが施されており、そう遠くないところには、伊達家のそのほかの子孫の墓碑がこぢんまりとした墓地に点々と立ちます。この辺りは人気の高い瑞鳳殿周辺に比べ人通りが少なく、霊屋や周囲の森の落ち着いた雰囲気をじっくりと味わうことができます。 

瑞鳳殿の近くにある資料館では、伊達家の遺品や、戦時中の空爆後に発掘された遺骨や遺髪など様々な出土品が展示され、伊達家の歴史をより深く掘り下げることができます。刀剣、甲冑、くし、漆箱、文書なども展示されています。伊達家や仙台関連のオリジナル商品や記念品を購入できるショップもあります。 

仙台の豊かな森の奥深くに潜む別世界へといざなわれ、宮城の豊かな文化を体験したい方にとって、瑞鳳殿はうってつけです。観光名所というだけではなく、地元の住民や学校の生徒たちに大切にされ、遠足や修学旅行に利用される地域のシンボルでもあります。仙台あるいは宮城への旅は、瑞鳳殿を訪れ、いにしえの最も有力な一族の一つである伊達家の全体像に触れることなくしては完結しません。 

瑞鳳殿は、仙台市の地下鉄東西線・大町西公園駅から徒歩約15分です。市内の観光名所を巡る路線バス「るーぷる仙台」の停留所もあります。週末は英語が話せるツアーガイドがいますし、現地の案内板などは多言語で表示されています。 

ソラ・チェさん

プロフィール

    

宮城県国際交流員

ソラ・チェ(Sora Choi)

米ミシガン州出身。ミシガン州立大卒(日本語学と英語学を専攻)。高校時代、仙台市でホームステイを経験し、日本に興味を持つようになった。来日前は、日米関係を専門とするワシントンの研究機関に勤務。2016年から、宮城県経済商工観光部・国際企画課の国際交流員(CIR)として任用され、主に「VISIT MIYAGI」ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて、地域の観光振興に取り組む。

(協力:自治体国際化協会、写真提供: 瑞鳳殿) 

寄稿を募集しています

「国際交流員ご当地レポート」は随時、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(JETプログラム)で各地に派遣されている国際交流員(CIR)からの寄稿文(英文)を募集しています。地方の魅力を広く内外に伝えるツールとして「紡ぐ TSUMUGU: Japan Art & Culture」をご利用いただきたいからです。寄稿をご希望される場合は、CIRの任用団体(担当課)から 紡ぐプロジェクト事務局(担当:松浦) までご連絡ください。 

Share

0%

関連記事Related articles

編集部からFrom the Editor

一覧ページへ