2020.11.18

国宝の仏像模刻から「せんとくん」まで…東京芸大で籔内佐斗司退任記念展

奈良県のマスコットキャラクター「せんとくん」の生みの親として知られる彫刻家の籔内佐斗司やぶうちさとし・東京芸術大教授の退任記念展「私が伝えたかったこと―文化財保存学保存修復彫刻研究室2004−2020の歩み―」が、11月19日から29日まで、東京・上野の同大学大学美術館で開催される。籔内教授は2004年から、同研究室で文化財の修復(修理)や、修復を行う技術者の育成に取り組んでおり、2020年度末に定年を迎えることから、これまでの歩みを振り返る展覧会を企画した。

籔内教授の彫刻作品をはじめ、奈良・東大寺法華堂の秘仏「執金剛神立像しゅこんごうじんりゅうぞう」の復元彩色像、奈良・聖林寺の国宝「十一面観音菩薩立像」など、学生たちが手がけた模刻(模写した彫刻)や修復した仏像、文化財の3D映像など約60点を展示し、文化財の魅力や最新の修理技術を伝える。

東京芸術大では、文化財の保存修復に携わる多くの人材を輩出してきた。籔内教授もその担い手の一人。研究室に着任して以降、多くの企業や自治体などと連携して都道府県指定文化財を含む全国各地の寺社の仏像や彫刻の修復、現存しない仏像の復元、国宝や重要文化財の模刻、3Dデータを使った文化財の分析などに取り組んできた。

博士課程の留学生・朱若麟さんが取り組んだ聖林寺の「十一面観音菩薩立像」の模刻では、制作された奈良時代に使われていた工具も再現。最新の研究成果を基に、本物と同じ木材、漆、金箔きんぱくを使い、最後は現状の古びた色合いにする「古色仕上げ」を施して精巧に作り上げた。籔内教授は模刻の重要性について、「古人の知恵に倣い習うことが非常に重要で、昔の人たちが残した素晴らしい作品を徹底的に研究して学ぶことで、芸術的な力、感性が花開き、現代によみがえらせることができる。それによって、次の世代へと日本の文化が続いていく」と語る。

2021年3月末の定年退職を前に自らの軌跡を振り返ることについて、籔内教授は「私が研究室で16年間取り組んだのは、物の保存以上に、人を育てることだったと思う。これまで一緒に学び、仕事に取り組んだ学生たちは、まさに私のかけがえのない作品。研究室の取り組み、成果をぜひ会場でご覧いただければ」と話す。

大学の公式サイトはこちら

https://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2020/yabuuchi/yabuuchi_ja.htm

開催概要

日程

2020.11.19〜2020.11.29

午前10時 - 午後5時
(入館は閉館の30分前まで)
会期中無休

会場

東京芸術大学大学美術館本館 展示室1、2
東京都台東区上野公園12−8

料金

無料

お問い合わせ

ハローダイヤル 03-5777-8600

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