2020.11.10

伝説的な名刀から美麗な刀装具まで…「埋忠展」で日本刀の魅力に酔いしれる

桃山時代から江戸時代にかけて、京都を中心に活躍した刀工集団「埋忠うめただ一門」ゆかりの品々を集めた特別展「埋忠<UMETADA>桃山刀剣界の雄」が、12月14日まで大阪歴史博物館で開かれている(2021年1~2月には東京都墨田区の刀剣博物館で開催)。人気ゲーム「刀剣乱舞」にも登場する名刀をはじめ、精巧に作られた刀装具の美しさも堪能できる。展覧会の見どころを紹介する。

刀剣にまつわる活動を幅広く…一大工房だった埋忠一門

埋忠一門は、刀剣だけでなくつばや、鐔の上につけて刀身を固定するはばきなど金具類の制作、古い名刀の仕立て直しや彫金加工といった幅広い作業に工房として取り組み、作業の内容を「埋忠銘鑑」と呼ばれる記録に残した。日本刀の歴史をひもといても、これほどまでに幅広い活動をした一門はほかにないという。

今回の展覧会では、一門が制作・加工を手がけた国宝や重要文化財の刀剣、刀装具をはじめ、記録史料、また一門と深い関わりがあった本阿弥光悦ら本阿弥家に関連する品々など、約90点を展示している。

ウロコ一枚まで…刀身に施された精密な彫刻

一門の実質的な祖とされるのが、桃山時代から江戸時代初期に活躍した埋忠明寿みょうじゅ。刀工としてだけでなく彫金の技にも優れていたといい、明寿が手がけた重文「短刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿 慶長十三年三月日/所持埋忠彦八郎重代」(個人蔵)は、刀身の地鉄じがねの表と裏に、玉追い龍の大きな彫刻が施されている。わずか数センチの幅に、ツメ一つ、ウロコ一枚一枚にいたるまで彫られた龍は迫力満点だ。40年ぶりの一般公開という。

【重要文化財】短刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿 慶長十三年三月日/所持埋忠彦八郎重代
慶長13 年(1608) 個人蔵

また、明寿の唯一の長刀とされる重文「太刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿」(京都国立博物館蔵)には、表に不動明王像が彫られている。その精緻せいちさは、いかめしい表情まで見て取れるほど。

芸術的な鐔の美しさにうっとり

明寿は鐔も手がけており、ツタや果実が描かれた重要美術品の「つた文鐔 銘 埋忠明寿」(個人蔵)は、金属を意図的に腐食させ、俵屋宗達が得意とした絵画技法「たらしこみ」をほうふつさせるようなにじんだ風合いを出しているのが特徴。ツタや果実の表現には、本阿弥光悦の影響も見て取れるといい、桃山美術につらなる芸術性の高さに驚かされる。

【重要美術品】蔦文鐔 銘 埋忠明寿 桃山~江戸時代初期(17世紀) 個人蔵

明寿以降の世代で、一門の中で活躍した金工・七左衛門重義による「花丸文鐔 銘 梅忠七左衛門 橘重義作」(個人蔵)は、四季折々の花々があしらわれた華麗な作品。鐔の展示コーナーには、十二支の動物や反物、古地図など、様々なモチーフをあしらった品々が展示されており、思わずため息がでる美しさだ。

花丸文鐔 銘 梅忠七左衛門 橘重義作 江戸時代(17世紀) 個人蔵
国宝、重文の名刀が続々

一門が象嵌ぞうがんの細工をほどこした国宝「刀 金象嵌銘 天正十三十二月日江本阿弥磨上之(花押)/所持稲葉勘右衛門尉(名物 稲葉江)」(岩国美術館蔵)は、豊臣秀吉の家臣・稲葉重通から徳川家康らの手に渡った名刀だが、長く所在不明だった。2016年に、文化庁が所在を確認したと発表し、話題となった。

【国宝】刀 金象嵌銘 天正十三十二月日江本阿弥磨上之(花押)/所持稲葉勘右衛門尉(名物 稲葉江)南北朝時代(14世紀) 岩国美術館蔵 (撮像:中村慧)

このほか、一門が刀身彫刻をほどこした重文「短刀 無銘 貞宗(名物 太鼓鐘貞宗)」(個人蔵)、鎺を作成した重文「短刀 銘 吉光(名物 博多藤四郎)」(文化庁蔵)、「短刀 銘 吉光(名物 毛利藤四郎)」(東京国立博物館蔵)など、名刀がずらりと並び、刀剣ファンにはたまらない内容となっている。

<上>【重要文化財】短刀 無銘 貞宗(名物 太鼓鐘貞宗) 鎌倉時代末期~南北朝時代(14世紀) 個人蔵
<下>【重要文化財】刀 金象嵌銘 義弘本阿(花押)/本多美濃守所持(名物 桑名江) 鎌倉時代末期~南北朝時代(14 世紀) 京都国立博物館蔵[展示期間]10 月31 日~11 月23 日

同館は「埋忠一門を取り上げる展覧会は久々の開催となる。刀身だけでなく、刀装具や、記録的な史料など、日本刀に関する幅広い魅力を知る機会にしてもらえれば」としている。

2021年1月9日から2月21日は、東京都墨田区の刀剣博物館でも開催される(一部展示替えあり)。

公式サイトはこちら

https://umetada2020-2021.jp/

大阪・東京両会場の展示品のリストはこちら

https://umetada2020-2021.jp/image/list_201030.pdf

   


刀剣書を複製へ クラウドファンディングが進行中

「埋忠銘鑑」の写本の一つで、展覧会に出品されている「埋忠刀譜」(刀剣博物館蔵)を、クラウドファンディングにより複製するプロジェクトが進行している。埋忠刀譜は最新の調査で、現在は行方不明となっている原本に最も近い写本であることが判明したという。九鬼正宗や太鼓鐘貞宗、にっかり青江、稲葉江、桑名江といった名刀のなかご図を中心とした、ほぼ原寸大の絵図や読み下し文を収録するという。目標額は1000万円で、受け付けは12月31日まで。詳しくは公式サイトへ。

https://idea-yomiuri.en-jine.com/projects/umetada

(読売新聞紡ぐプロジェクト事務局 沢野未来)

開催概要

日程

【大阪展】
2020年10月31日(土)~12月14日(月)
9:30~17:00

※会期中の金曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで

休館日:火曜日

【東京展】
2021年1月9日(土)~2月21日(日)

会場

【大阪展】
大阪歴史博物館
大阪市中央区大手前4丁目1-32

【東京展】
刀剣博物館
東京都墨田区横網1-12-9

料金

【大阪展】
大人:1,900円
高校生・大学生:1,200円
※来館前日までに事前予約制の「日時指定券」をお求めください。 ただし、定員に達していない時間帯は、予約していない方の当日受付が可能です

お問い合わせ

大阪歴史博物館 電話:06-6946-5728

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