2020.9.24

三井記念美術館 企画展「敦煌写経と永樂陶磁」

妙法蓮華経 巻第二 鳩摩羅什訳 1巻
唐時代・上元2年(675)

東京・日本橋の三井記念美術館で9月12日から、館蔵品による企画展「三井記念美術館コレクション 敦煌写経とんこうしゃきょうと永樂陶磁」が開かれている。中国・敦煌出土の仏教経典「敦煌写経」の優品と、永樂保全えいらくほぜん(1795~1854)の中国陶磁を写した作品を組み合わせ、東洋の経典・書芸術と京都のやきもの(京焼きょうやき)らしい中国陶磁写しの世界を鑑賞できる。

永樂保全の陶磁器

永樂保全は、中世から続く茶の湯の土風炉師どぶろし、西村善五郎家の11代だが、父の10代了全りょうぜんとともに、三井家などの名家に伝わる中国や東南アジアの陶磁器の名品を写すところから出発し、京焼らしい中国陶磁写しを精力的に制作するようになった。

三井家は、この了全と保全の頃から永樂家の最大の後援者となり、その交流は昭和時代まで続いた。ここでは、三井家に伝わった保全の代表作品を選んで展示する。

絵高麗写花文耳付水指 1口
江戸時代・文政10年~嘉永7年(1827~54) 北三井家旧蔵

絵高麗写花文耳付水指えごうらいうつしかもんみみつきみずさしは、中国の華北で焼かれたとされる絵高麗を写したもの。祥瑞写芋頭水指しょんずいうつしいもがしらみずさしは、明時代末期の崇禎年間(1628~1644)頃に日本に向けて焼かれた染付そめつけ磁器の祥瑞を写したもので、南蛮芋頭の器形にならっている。

交趾釉兎花唐草文饅頭蒸器 1合
江戸時代・文政10年~天保14年(1827~43) 北三井家旧蔵

交趾釉兎花唐草文饅頭蒸器こうちゆううさぎはなからくさもんまんじゅうむしきは、江戸時代には交趾(ベトナム)のやきものとして伝わっていた交趾焼の技法で饅頭蒸器を作ったもので、鮮やかな交趾焼を見事に映している。

敦煌写経
大乗密厳経 巻下 地婆訶羅訳(676~688訳出)1巻
唐時代(則天武后期)・8世紀初期

敦煌写経とは、1900年に敦煌莫高窟ばっこうくつに住む道士王円籙どうしおうえんろくによって発見された蔵経窟ぞうきょうくつから出土した古文書類のうちの古写経を指す。第16窟の壁の奥に塗りこめられていたこの蔵経窟(第17窟)には、4~11世紀にわたる約5万点の古文書類が秘蔵されていた。

そのうち、イギリスの探検家スタインが1907年に約1万点を、翌年にフランスのペリオが約6000点を入手、その後、清朝や日本の大谷探検隊、ロシアのオルデンブルグなどが敦煌を訪れ、多くの古文書類を入手している。

しかし、この頃からすでに偽物が作られていたようで、近年、敦煌文書には多くの偽物が混入していることがわかり世界的なニュースとなり、以来、各地に伝世する敦煌文書の見直しが迫られることとなった。

三井記念美術館の敦煌写経は、北三井家が昭和3年(1928)に入手したもので112点あるが、その一部が戦前の昭和10年と同14年に東京・麻布笄町こうがいちょうの三井家集会所にて展覧されて以来、昭和59年に三井文庫に寄贈されるまで秘蔵されてきたもの。

同館では、これらの敦煌写経の整理を進める中で、平成12年(2000)より、京都国立博物館の赤尾栄慶氏を代表とする研究プロジェクト「敦煌写本の書誌に関する調査研究―三井文庫本を中心として―」を受け入れた。3年間の調査研究を経て、厳密な検討を加え精選したものが、今回展示の写経34点だ。

漢字文化圏に伝わる写経の中では最高の出来栄えといわれる長安宮廷写経ちょうあんきゅうていしゃきょうをはじめ、敦煌写経の規準作といっても過言ではない。

開催概要

日程

2020.9.12〜2020.11.8

会場

三井記念美術館
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階

料金

一般1000円/大学・高校生500円/中学生以下無料

休館日

月曜日

ただし11月2日は開館

開館時間

午前11時~午後4時
(入館は午後3時半まで)

お問い合わせ

050-5541-8600(ハローダイヤル)

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