紡ぐプロジェクトとは
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展示構成

エントランス

国宝「花下遊楽図屛風」高精細複製品とプロジェクションマッピング

エントランスでは導入として、満開の桜の下で舞い踊る姿が描かれた17世紀の国宝「花下遊楽図屛風(かかゆうらくずびょうぶ)」の高精細複製品を展示し、プロジェクションマッピングによって幻想的な空間を創り上げます。

国宝「花下遊楽図屛風」は、歌舞伎の源流である「かぶき踊り」の様子を描いた貴重なものですが、大正12年(1923)の関東大震災の時に、向かって右側(右隻)の中央部分が失われました。今回展示される複製品は、消失前の姿が映されたガラス乾板の画像をもとに、失われた部分を復元したもので、文化財活用センターとキヤノン株式会社との共同で製作しました。

国宝 花下遊楽図屛風 狩野長信筆 
江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵 
※画像は原品

  • (左隻)
  • (右隻、白黒部分はガラス乾板写真)
右隻に、満開の桜の下で貴婦人を中心とする酒宴のさまを、左隻には八角堂(八面の仏堂)の前で繰り広げられる風流踊りと、それを眺める人々を描いています。踊る人々が着ているのは慶長年間(1596~1615年)初頭にはじまった「かぶき踊り」の流行を受けた当時最新のファッションです。その衣裳を金泥を用いて煌びやかに描くのに対し、樹木や岩などは水墨を中心に表現することで、人々の姿がより引き立てられています。

第1章 歌舞伎

錦絵「名優四君子」豊原国周 明治27(1894)年
国立劇場蔵
押隈「五代目尾上菊五郎の土蜘蛛の精」明治30(1897)年
国立劇場蔵

■ 展示のポイント

展示では、歌舞伎の代表作である『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』をテーマに、桜花爛漫の吉野山の明るく華やかな舞台を再現します。他にも、明治期に活躍した浮世絵師・豊原国周の描いた錦絵や、舞台で使用される仕掛け付きの小道具、華やかな歌舞伎衣裳・鬘を御覧いただきます。歌舞伎の衣裳は、演目にあわせて動植物が表現されているものがあり、例えば『鞘当(さやあて)』では、不破の「雲に稲妻」、名古屋の「雨に濡れ燕」の図柄が大胆にデザインされた衣裳が登場人物のトレードマークになっています。
『義経千本桜』静御前の衣裳 松竹衣装株式会社蔵
『暫』鎌倉権五郎景政の衣裳 松竹衣裳株式会社蔵
映像コーナーでは、日本最古の映画で、フィルムが重要文化財に指定されている映画『紅葉狩(もみじがり)』(1899年撮影、国立映画アーカイブ蔵)を御覧いただけます。また、来館者がデジタルアートで隈取を体験し、歌舞伎役者になりきれるインタラクティブ展示のコーナーもご用意しております。

第2章 文楽

■ 展示のポイント

『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』奥庭狐火の段(おくにわきつねびのだん)の再現舞台によって、文楽特有の舞台の構造をご覧いただき、三人で一体の人形を動かす「三人遣い」を紹介いたします。四季の花々などをあしらった振袖姿の八重垣姫が、凍りついた湖を白狐の霊力によって渡る場面を再現した舞台装置の中を、来場者が歩いて上演中の舞台を体感していただけます。映像コーナーでは国立文楽劇場での『本朝廿四孝』奥庭狐火の段(おくにわきつねびのだん)ダイジェスト映像もご覧いただくことができます。

また、太夫・三味線弾きが並んで演奏する床(ゆか)(演奏場所)の光景を再現するとともに、本展示のために収録した映像を上映します。文楽人形の首(かしら)や鬘(かつら)の製作工程などの展示をはじめ、文楽を構成する三業(太夫・三味線・人形)すべてについてわかりやすく紹介します。一人遣いのツメ人形を動かすことのできる体験コーナーもご用意しております。
太棹三味線と撥(ばち) 鶴澤燕三蔵
見台 国立文楽劇場蔵

第3章 能楽

「弘化勧進能絵巻」(明治45(1912)年模刻、原本は斎藤月岑画)
国立能楽堂蔵
中啓(扇)「明皇貴妃花軍花車図鬘扇」
国立能楽堂蔵
能面「般若」
国立能楽堂蔵

■ 展示のポイント

世阿弥作の能を代表する『井筒(いづつ)』の舞台を再現します。女性を表す優美な能面に縫箔(ぬいはく)という豪華な装束、そこに在原業平と一体化したかのような長絹(ちょうけん)と初冠(ういかんむり)を着けた姿を能舞台に再現します。自然を写す草花の模様を取り入れた繊細にして大胆なデザインにご注目ください。

井筒を表す薄(すすき)を付けた井戸の作リ物も展示し、作リ物が舞台で果たす役割(簡略化され、能舞台の空間を効果的に演出する)なども紹介します。また映像コーナーでは『井筒』(国立能楽堂開場35周年記念公演 シテ:観世清和)の映像を放映します。

この他に能面を実際に体験できるコーナーも設置。狂言面や狂言装束も展示するなど多角的に能楽を楽しめます。

第4章 組踊

組踊の音楽は、三線を弾きながら歌う歌三線が中心で登場人物の心情を切々と歌いあげます。

「聴きに行く」と言われることもあるほど、「チチグトゥ(聴き物)」として、音が重要視されている組踊の聴きどころを人間国宝の歌三線の音源で演出します。

■ 展示のポイント

本展では、首里城正殿の御庭に北殿に向けて設置された御冠船芸能の舞台を再現するとともに、沖縄の故事にある天人女房譚に取材した組踊『銘苅子(めかるしー)』の天女を立体的に展示します。

また、紺地に松竹梅と鶴亀配した紅型幕(びんがたまく)を背景に吊り、琉球史に残る「護佐丸・阿麻和利の変」を扱った組踊『二童敵討(にどうてきうち)』の扮装、南国情緒あふれる独自の造形と色彩感をもった紅型(びんがた)衣裳や小道具、装身具類を、舞台写真と併せて紹介します。紅型は、沖縄特有の多色摺りの模様染めで、東南アジア等との海外貿易により、インドやジャワ、中国の染色技術を取り入れ、独自の技法を確立したものです。沖縄に自生しない動植物も意匠に使われており、鳳凰など中国の吉祥文様の図案が多くみられます。華麗な色彩感も特徴です。また、映像コーナーでは、国立劇場おきなわ公演記録から「朝薫の五番」と「古典女七踊」の映像をダイジェストで放映します。
組踊『銘苅子』天女
※写真は再現舞台イメージ
紅型衣裳 黄色地鳳凰立波文様
国立劇場おきなわ蔵

第5章 雅楽

■ 展示のポイント

本展では、西国の人が蛇を求め得て悦ぶ姿を舞にした『還城楽(げんじょうらく)』をマネキンで再現し、正式な舞楽で用いられる高さ5mの巨大な「鼉太鼓(だだいこ)」を設置します。また、襲(かさね)装束、蛮絵(ばんえ)装束(向かい獅子)、さらに児舞装束の迦陵頻(鳥)や胡蝶(蝶)などの装束類を左方(赤系統)と右方(緑系統)に配列し、色彩や刺繍されている文様、図形の対称性をつぶさにご覧いただきます。すべて宮内庁式部職楽部(くないちょうしきぶしょくがくぶ)で実際に使用している装束類です。また、映像コーナーでは、国立劇場雅楽公演の貴重な公演記録映像から「番舞」をダイジェストで放映します。

あわせて、宮内庁楽部の舞楽の写真から選りすぐったものを展示し、特異な容貌の舞楽面を中心に、さまざまな舞姿をお楽しみいただくことができます。
装束(左方) 半臂  宮内庁蔵
鼉太鼓  国立劇場蔵