2020.9.5

【作家が語る】須田賢司―工藝2020出展作品から

梻拭漆嵌装箱「銀漢」たもふきうるしがんそうはこぎんかん

須田 賢司 2009年 W・D・H:30.6・13.6・9.8cm (MOA美術館)【木工】

梻は太い導管が力強い木目を成す。見事な杢板を手にして、その木目を生かし、混とんとした宇宙の深淵を表せないものかと考えた。黒蠟色漆で拭漆を重ね黒みを強調し、象嵌部はシャム柿材を用い、象嵌のバックとして黒無地に近づけたが、よく見ると全くの無地ではなく、雲のような模様がわかる。黒漆をバックにした螺鈿もいいが、やはり木地象嵌には違う魅力がある。蓋裏には三日月が象嵌され、蓋を開けたときのその意外性も、箱という工藝作品の重要な要素だと思っている。

須田 賢司(1954- ) Suda Kenji
東京都生まれ。1972年東京都立工芸高等学校室内工芸科卒業。父・須田桑翠のもとで木工芸を修業した。伝統工芸を主体に活動し、日本伝統工芸展で2006年優秀賞、2008年日本工芸会保持者賞を受賞、伝統工芸木竹展でも受賞を重ねた。2010年MOA岡田茂吉賞MOA美術館賞受賞。江戸指物の堅実な伝統を踏まえつつ木工芸の高度かつ広範な技を研究、修得し、繊細かつ鋭敏な感性を発揮して気品のある創作を現わしている。桑や楓、黒柿等の国内産銘木に限らずウォールナットやメープル等の国外産の優良材も用いて、適した技術の広がりも見せている。2014年重要無形文化財「木工芸」保持者認定。群馬県甘楽町在住。

工藝2020の出展作品一覧・関連記事はこちら

「工藝2020」開催概要や日時指定チケットの情報は公式サイトで

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kogei2020/

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